任意後見制度(契約)

 任意後見制度(契約)は判断能力が衰える前に、本人(支援を受ける人)と後見人候補者(支援する人)が事前にお互いの同意のもと成年後見活動について、契約を結ぶことによって、将来、病気等の発生にて利用する可能性がある後見制度を予約しておく制度です

 任意後見制度(契約)では、信頼できる方に依頼をすることをお勧めします。それは、自分の将来の財産や生活の支援をお願いするからです。任意成年後見制度ならず、すべての制度は、制度に問題があるというよりは、それを担う人に問題があると私は思います。

 任意後見制度は契約書を作成する上で、公正証書という公証人からの証明が必要になります。

<任意後見契約の図>

 上の図のように任意後見制度(契約)の場合には、本人が後見人になってほしい方を候補者として申立ができます。仲の良い家族や友人・知人、専門職でもなることができます。

 この場合、裁判所より後見監督人が選任されます。

 後見監督人が選任されることで、任意後見が開始されます。つまり、後見監督人が選任する前は、後見が開始されないため、任意後見人に払う報酬は発生しません。

 また、後見監督人は任意後見人が本人の財産管理や身上監護について適切に管理をしているか定期的に管理します。

 任意後見人も半年に1回、後見監督人に活動や財産状況を報告しますし、適時、後見監督人に相談することで専門的なアドバイスをもらえるメリットがあります。

【任意後見制度を活用すると良い場合】

 ・将来、判断能力が衰えた場合に安心して生活や金銭等の管理をサポートをしてほしい。

 ・家族が遠くにいるので、近くで定期的に生活や金銭等の管理をサポートしてほしい。

 ・一人暮らしのため、将来のことが不安なので今から生活や金銭管理等をサポートしてくれる人に相談したい。

 ・自由に自分の意思を伝え、認知症や精神疾患等の病気により、判断できなくなった場合に生活等をサポートしてほしい。

 ・知らない人に自分の将来をお願いしたくない。気心知れた方に自分の生活や財産管理等を行ってほしい。

 

【任意後見制度の活用に適さない場合】

 ・浪費癖のある障害を持っている子どもの将来が不安で、契約をしても取り消せるようにしておきたい。

 (※任意後見には取消権はありません。)

【任意後見制度(契約)作成にかかる費用】

 ・任意後見契約書類作成・・・5万円~10万円

  ※専門職や作成する内容によって費用は異なります。

 ・公正証書作成手数料・・・1件 11,000円

 ・公正証書代・・・1件 10,000円

 ・任意後見契約登記の嘱託手数料・・・1,400円

 ・登記手数料・・・2,600円

【任意後見制度(契約)利用時にかかる費用】

 ・任意後見人に支払う報酬・・・本人と候補者により自由に金額を決めることができます。

  ※家族の場合、報酬なしや専門職の場合は成年後見制度の報酬に準じている場合が多いです。

 ・後見監督人に支払う報酬

  本人の財産が5千万円以下の場合・・・月額1万円~2万円

  本人の財産が5千万円を超える場合・・・月額2万5千円~3万円

  ※報酬は裁判所の判断によって決めます。また、あくまで目安になります。

  ※東京都立川市参考。

【任意後見制度(契約)と一緒に活用すると良い制度】

 ・見守り契約・・・任意後見制度(契約)が始まる前に、定期的に本人の生活や健康状態について確認をします。

 ・死後事務委任契約・・・本人が亡くなった後にやらなければならない業務について家族や遺族等の代わりに代行をします。

【見守り契約】

 見守り契約では任意後見制度が始まる前に、本人の健康状態について定期的に後見候補者と連絡を取り、本人の身体状況を把握します。そうすることで、本人の判断能力が低下したタイミングをすぐに知ることができ、任意後見制度の開始時期を的確に行うことができるようになります。

 また、日々の見守り契約の中で本人の生活や心身状況について相談に乗ることができ、本人の生活の質(QOL)の維持をすることができます。

【死後事務委任契約】

 任意後見制度も成年後見制度も本人の死亡によって制度(契約)は終了します。本人が死亡すると後見人は本人の生活状況、財産状況をまとめ、裁判所に報告します。その後、本人の財産は相続財産として、相続人(代表者がいる場合は、その代表者)に引き継ぎます。

 そこで成年後見人等の仕事は終了します。

 その後、死後の手続きは相続人や家族が引き継ぎ対応をします。

 家族や身寄りがいない人は、本人の亡くなった後の手続きをする人がいません。

 そこで、死後の手続きも継続して行ってくれるよう契約を結ぶことで、本人が亡くなった後も手続き等を行ってくれるように契約を結びます。

【見守り契約にかかる費用】

 ・見守り契約書類作成・・・1万円~3万円

  ※専門職や作成する内容によって費用は異なります。

 ・公正証書作成手数料・・・1件 11,000円

 ・公正証書代・・・1件 10,000円

  ※定期的にかかる報酬については別途かかります。

 

【死後事務委任契約にかかる費用】

 ・死後事務委任契約書類作成・・・10万円~

  ※専門職や作成する内容によって費用は異なります。

 ・公正証書作成手数料・・・1件 11,000円

 ・公正証書代・・・1件 10,000円

  ※実際に死後事務を行った報酬については別途かかります。