事例検討

当事務所が関わってきた事例について専門職、家族等の支援の参考になれば幸いです。

<事例1>

 保佐人就任前から病院と施設で本人の受け入れ態勢について、色々あったケース。病院側としては早く退院させたいが、施設側では身元保証や緊急連絡先がないと入所がなかなか難しく、話が進まなかった。

 (対応)

 施設がもともと繋がっていた身元保証会社に本人同意のもと、対応し、施設入所に至った。その後に当職が保佐人に就任した。

 (所感)

 高齢の方で身寄りがいない方は結構多く、施設の入所について、なかなか思うように進まない相談が増えてきました。

 解決策としては施設側で求めている不安(内容)を丁寧に話し合うことだと思います。

 施設としては料金の未納をなくし、いざという時に緊急で連絡ができる方が必要、本人が亡くなった時に動き等になります。

 つまり、民間の身元保証会社や成年後見人等でそれらを対応することができれば、施設入所に関して進められると思っています。

 施設にもよりますが、杓子定規のように決められた書類や保証ができなければ、入所不可のところもありますが、きちんと話を聞き、臨機応変に対応してくれる施設も増えてきています。

 諦めずに施設を探すことが大切です。

 

 

<事例2>

 後見申立中に本人よりも申立人が先に死亡したケース。今回は申立書を出す前に申立人が亡くなったため、成年後見開始審判申立は行われませんでした。また、審判申立が行われていても調査官が申立人に事情を聞くまでに亡くなっていたため、申立は途中で終了していたと思います。

 (対応)

 市町村長申立による成年後見開始審判の申立。

 所感

 申立が行われていた場合は、裁判所の職権又は利害関係者等により、相続人や四親等内の家族に引き続き、申立を継続するか確認があります。なければ、その申立は終了します。

 今回は、最終手段の市町村長申立に切り替わりました。本人の他に親族等の情報は何もなく、地域包括や申立人が入所していた施設でも情報がありませんでした。

 そうなれば、もうこれは市町村長の行政権の範囲になります。市町村長申立後に成年後見人等が就任し、相続手続き等の処理を行うと思われます。

 

 

<事例3>

 成年後見人に就任中、家族より、本人の死後の事務についても引き続き対応をしてほしいと相談があったケース。

 (対応)

 「成年被後見人の死亡後の死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為についての許可 申立書」というものがあります。本人の事後事務を行う適切な理由が必要になりますが、家庭裁判所へ申立をすることで、本人が死亡した後の事務につきましても対応することが可能です。

 所感

 家族の形もそれぞれですが、後見活動をしていて感じるのは、被後見人の子供が特に息子である場合、キーパーソンになるのが配偶者の妻です。妻が義父・義母の面倒を見ています。つまり、対応させられるケースが多く、負担も大きいな~と感じます。だからこそ、本人(被後見人)は家族には迷惑をかけたくないという気持ちもわかります。