【リビング・ウィル(意思表明書)】
「終末期の医療やケアについての意思表明書」。
重病になり、自分自身では判断ができなくなる場合に、治療に関して自分の希望を述べておく書類。
【事前指示書】
ある状況下において自分がして欲しい医療、あるいはしてほしくない医療につき述べる書類。
自分が意思能力も含め、能力がなくなった場合に備え、誰かに自分の医療につき決定する権利を委任しておく書類。
【アドバンスド・ケア・プランニング(事前医療・ケア計画)】
患者さん本人と家族が医療者や介護提供者等と一緒に、現在の医療や介護だけでなく、意思決定能力が低下する場合に備えて、予め、終末期を含めた今後の医療や介護について話し合うこと。
また、本人に代わって意思決定をする人を決めておくプロセスを意味しています。
【尊厳死宣言公正証書】
「尊厳死」とは、回復の見込みのない末期状態の患者さんに対し、生命維持治療を差し控え又は中止し、人間としての尊厳を保たせつつ、死を迎えることをいいます。
嘱託人が自らの考えで尊厳死を望み、延命処置を差し控え、中止する等の宣言をし、その結果を公正証書にするものです。
【身元保証委託契約】
身元保証とは、病院への入院や施設への入所等、在宅から新たな居住地に入居する場合、どうしても保証人等が必要になります。
一人暮らしの方や家族が遠くにいて、身元の保証や緊急連絡先としての対応ができない場合に活用することでスムーズに入居等が行え
ます。
老人ホーム入居中に病気を患ったり、ケガをして治療をうけたりすることはよくあります。
ときには、体調急変により救急搬送されるケースもあります。そのとき、治療方針の判断や手続きは基本的に本人がおこないます。
しかし、それが困難な場合は誰かにしてもらわなくてはなりません。
ホームの職員は入居者の代わりに治療方針を決めたり手続きをしたりすることができないため、その場合は家族や身元保証人がおこないます。また、ケアの内容に変更がある場合はそのケアプランで問題ないかの同意が必要となります。
2.死亡時の退所手続きや荷物引き取り
入居者が亡くなった場合には、身元保証人が退居手続きをし費用の精算も行います。また、居室の荷物の引き取り、居室を入居前の状態に戻し、完全に空けるようにします。
老人ホームに支払う毎月の利用料は本人の負担ですが、支払いが困難になった場合は身元保証人が代わりに支払うこと(連帯保証)になります。
また、本人に現金はないが不動産や株式といった資産があり、契約や手続きをすることにより支払いができるケースもあります。
要介護状態のため本人の手続きが困難なときは、本人に代わり資産を支払いに充てる手立てをするのも身元保証人の役割です。
家族形態の変化により身元保証人のニーズが増え、身元保証を引き受ける法人が増えてきました。
保証会社を利用する理由は身内に保証人になってくれる人がいないというのが一般的です。
しかし、なかには家族関係がうまくいっておらず「子供がいても保証人を頼めない」という方もいます。
法人の形態は、株式会社、一般社団法人やNPO法人など様々で、法人そのものが身元保証人になり、老人ホームとの連絡窓口になることもあります。
5.身元保証会社が行うサービスは主に次のものがあります
身元保証サービス(基本サービス) | 生活支援関連サービス | 死後事務支援 |
・老人ホームへの見学同行 ・老人ホーム入居契約にかかわる身分保証 ・老人ホーム利用料の連帯保証 ・緊急連絡先としての対応 ・入居退居手続き ・病院の入退院手続き ・入院費用の連帯保証など |
・定期的な見守り
|
・死亡時の葬儀、納骨、供養等死亡に関する基本的な手続き代行
|
6.成年後見人と身元保証会社の違い(そもそもこの二つを比較することに意味はない)
項 目 | 後見人等 | 身元保証会社 | 備 考 |
施設への支払い 治療方針の判断 入院手続き 緊急連絡先 死亡時の退所手続き 死亡後の荷物の引き取り・処分 死亡後の荷物の引き取り手配 施設のトラブル対応 福祉サービスの利用手続き 行政手続 生活上の支払い 葬儀・納骨・供養 死亡時の行政・ライフライン手続き 取消権 家庭裁判所の関与 |
〇(※1) ✖ 〇 〇 △ △ △ 〇 〇 〇 〇
✖(※3) ✖(※4) 〇 〇 |
〇(連帯保証)
✖ 〇 〇 △ △ △ 〇 〇
△ 〇 △ △ ✖ ✖ |
後見人は保証人ではありません。 治療の判断は本人や家族のみ。
本人が行った契約行為を取り消すことができます 裁判所が関与するため、不正の防止ができます |
そもそも根本的にこれら二つを比較すること自体がおかしいと私は思います。
なぜなら・・・・
それは前提が違うからです。
身元保証会社との契約は個人間の契約になります。そのため、本人に契約内容を理解する判断能力が必要になります。
逆に成年後見等は認知症や精神疾患等により、本人の判断能力が低下してから利用する制度になります。
そもそも比較することに意味がないものなのです。
つまり、判断能力が衰えたら身元保証会社は使えない。そもそも判断能力がある場合は後見制度は使えない。ということです。
では、なぜ、表を載せたかというと後見人等や身元保証会社が行うサービスについて表にすると見やすいからです。
昨今、パンフレットなどに「身元保証人不要」と記載している介護施設もあります。そういった施設の多くは身元保証会社と提携しており、保証サービスを利用すれば入居できる、というものです。
保証人がいなくても、こういったサービスを使い入居できるケースもあります。しかし、追加で身元保証料がかかるので想定以上に費用がかさむことがあります。まずは、毎月無理なく支払える額なのか確認する必要があります。
身元保証を法人に依頼する際には費用が掛かります。費用は法人によって、またどのようなサービスを利用するかによっても異なります。当然、付帯サービスを多くつけるとそれだけ費用も高額となります。
ある程度まとまった金額を「預託金」として支払い、事象が発生したとき、預託金から支払う形としているものや、サービスによっては、契約時の初期費用と月額費用の二重支払いを設定しているところもあります。
こうした保証会社に支払う総費用は、契約内容によっては数百万円にものぼることもあります。
どの身元保証会社にするか見極めるのは難しいものです。仕組みや保証内容、契約条項など複雑な点も多いので、できれば信頼のおける第三者に同行してもらい、納得のうえ契約をすることが大切です。
保証会社のサービスメニューは多岐にわたり、預託金、月額費用、初期費用などかかるお金の種類もさまざまです。保証会社は1社だけ話を聞いて決めるのではなく、2~3社比較しましょう。比較をすることでサービスに対する費用が妥当かどうかが見えてきます。
また、保証会社はどういった仕組みで運営しているのか理解することが難しいです。可能であれば信頼できる第3者とともに説明を聞き、わからないところは同行者にフォローしてもらいましょう。
身元保証会社が破たんしたら、身元保証がなくなり老人ホームにいられないかもという不安が広がります。納めている預託金も全額返還されるかどうかわかりません。預託金とはいったん保証会社がお金を預かり、葬儀代など本人のために使うお金のことです。
万が一保証会社が破綻した場合、その後どうなるのか必ず確認し、その説明に納得できるまでは契約は控えましょう。このようなことから、保証会社選びは慎重に行なう必要があります。
あべ行政書士・社会福祉士事務所
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